猫はなぜ「ニャー」と鳴く?ネコミュニケーションの真実とは
- 2015/5/20
- しる

3行でまとめると
1.(猫=ↀωↀ=)ゴロゴロ… は「かまってほしい」の合図
2.(猫=ↀωↀ=)スリスリ… は「おかえり」の合図
3.野生の猫はニャーと鳴かない?
猫のイメージと聞くと、あなたはどんなことを思い浮かべますか?私?私はそうだなぁ「自由気まま」でしょうか。犬の「従順」な感じとは正反対なイメージがあります。どちらかというと猫の気持ちって分かりにくいようなイメージがあるんですよね。鴻池剛さんという漫画家さんの飼っているぽんたなんかはその最たる例だと思います。
しかし、最近の研究で「猫の気持ちは分かりにくい」というイメージが、ただの誤解だったかもしれないということを裏付ける事実が判明してきています。どうやら猫のコミュニケーションは、私たちが思っている以上に表現豊かで、むしろ人間が間違ったコミュニケーションの受け止め方をしているようなのです。ということで、最新の研究で明らかになったネコミュニケーションの秘密を下にまとめてみました。
1.(猫=ↀωↀ=)ゴロゴロ… は「かまってほしい」の合図
猫がゴロゴロとのどを鳴らすのは、「猫が喜んでいる」という意味だけではありません。
「猫は確かに喜んでいる時ゴロゴロと喉を鳴らしますが、猫は喜び満足して喉を鳴らすだけでなく、傷ついたり病気になった猫もゴロゴロと喉を鳴らします」とジョージア大学の動物行動学教授のシャロン・クロムウェル・デイヴィス氏(Sharon Cromwell-Davis)は言います。彼女が言うには、猫がゴロゴロと喉を鳴らす意味はむしろ「どこにも行かないで、お願い」という意味に近いのだそうです。言い換えると「満足したよ」という意味というより、「かまってほしいよ」という意味に近いということ。
また、ブリストル大学の動物学者であるジョン・ブラッドショウ教授(John Bradshaw)も言います「猫はうまく助けを求める方法を知りません、彼らの言語では表現できないのです。ですから猫はセカンドベストを考えました、つまりゴロゴロと喉を鳴らしたのです」とは言います。これらの研究結果から分かることは、猫がゴロゴロと喉を鳴らしている時にはなるべく一緒に時間を過ごすのが望ましいということですね。猫が満足したと思ってコミュニケーションを止めてしまうのは、猫の反応を見てからの方が良さそうです。
ちなみに猫は顔の表情を持っているそうです。クロムウェル教授が言うには「猫がストレス状態にあったり、痛みを感じていれば、顔の筋肉は緊張しますが、猫が喜んだりリラックスしていれば、顔の筋肉はゆるみます」とのこと。さらに詳しく言えば、長くゆっくりのまばたきに注目しなさい、と獣医のゲイリー・ワイツマン氏(Gary Weitzman)は言います。「ゆっくりのまばたきは本当は受け入れのジェスチャーです。あなたといて全く快適である時、猫はゆっくりまばたきます、そしてそれは他の猫にたいしても同様です」と。なぜ猫が快適だと感じている時そうするのかは明らかになっていません。しかしウェイツマン氏によるとそれは自動的な反射で、猫が持つストレスホルモンのレベルが下がる事と関係しているそうです。
2.(猫=ↀωↀ=)スリスリ… は「おかえり」の合図
では次に、あなたが仕事や用事を終え、猫の待っている家に帰ってきた時のことをイメージしてみてください。あなたがドアから入ってきた時、あなたの猫は自分の体をあなたの脚にこすりつけてきたとします。あなたは猫が何を感じていると思いますか?
クロムウェル教授は「野生の猫は狩りから帰ってくると、猫たちは数分間互いの体をこすりつけ合います」と言います。「猫たちはまた、彼らの尻尾を互いの背中に巻きつけます。それは人間のハグに似ています。それは一般的に猫たちが再会した時に行われるのです」と彼女は続けます。そしてこれは猫が人間に対して行う時にもあてはまります。「あなたの猫がやっていることは猫世界では普通に行われている友好的なあいさつ行動で、その行動を人間に対しても適用しているのです」。クロムウェル教授は共同生活をする野生の猫のグループを研究した結果、どうやら猫は我々が思いがちなように孤高ではないということ。また、野生の猫は群れや家族で結束する傾向があるということが判明しました。それが猫が「おかえりなさい!寂しかったよ!」と言うための猫言語なのです。
3.野生の猫はニャーと鳴かない?
ネコミュニケーションにとって一番意外な事実。それは、猫は他の猫とコミュニケーションする時に本当はニャーと鳴かないということです。
ブラッドショウ教授は野生の猫を研究観察した結果、「あなたは数百時間に一回ぐらいしかニャーという鳴き声を聞けないでしょう、野生の猫は非常に静かです」と言います。また、「飼い猫の場合はあなたも知っているように、一日中(しばしば夜にも)鳴く事でしょう。人はそれを古くからの猫の振る舞いだと思っています…しかし、それは猫が私たちの注意をひくために学んだものなのです」とのこと。むしろ、ブラッドショウ教授の著書によれば、ニャーという鳴き声は、猫と飼い主の間の秘密の合言葉で部外者の人にとっては意味の無い言葉だそうです。ニャーという鳴き声は世界共通の猫の鳴き声ではありますが、本当は猫が人と交流する方法として身に付けたものなのですね。
ちなみに、これはコーネル大学の研究者たちによる2003年の研究により実証され、ブラッドショウ教授の著作に収められています。研究者たちは日常的な5のシーンにおいて12匹の猫からニャーという鳴き声を録音しました。そして飼い主たちにそれらの鳴き声の録音を聞かせたところ、その猫の飼い主だけがニャーという鳴き声が録音された時のシナリオを正しく解読することができることが分かったそうです。そして飼い主たちは猫がニャーと言う鳴き声を通して欲しているメッセージ、つまりエサが欲しいか、退屈なのか、その他の事なのか、をある程度正確に告げる事が出来ました。
では、ニャーの本当の意味は何なのか?「ニャーは移り気な経験による、注意を求める音である」とブラッドショウ教授は書いています。簡単に言うと「ねぇねぇ」とか、「あのさー」のような意味でしょうか。しかし、その本当の意味は、猫と飼い主だけが知るということですね。
ソース:Your Cat Is Trying to Talk to You(NYMAG/sience of us)
文責:竹中辰也
翻訳:N.Y
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