ブラック企業からの求人は拒否!「青少年雇用促進法」で何が変わる?
- 2015/9/16
- はたらく

ブラック企業・ブラックバイトの実態
ここ数日の間で、学生のアルバイト労働問題がテレビなどで報道されており、改めて「ブラックバイト」「ブラック企業」という言葉に注目が集まっています。
ブラック企業(ブラックきぎょう)またはブラック会社(ブラックがいしゃ)とは、広義としては暴力団などの反社会的団体との繋がりを持つなど違法行為を常態化させた会社を指し、狭義には新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業を指す。
引用元:ブラック企業
人によって「ブラック企業」の基準は違うでしょうが、正直良いイメージはありませんよね。そんな”できればお世話になりたくない企業”の「ブラック企業」ですが、厚生労働省の報告によると年間に8000件近くの求人票に関する苦情が挙がっており、働いている人にとっては他人事ではなくなってきています。
○ 求人票の記載内容に係る求職者からの申出・苦情等件数(平成 24 年度:全国計) 7,783件
【具体的な内訳(主なもの)】
・ 賃金に関すること 2,031件(26%)
・ 就業時間に関すること 1,405件(18%)
・ 選考方法・応募書類に関すること 1,030件(13%)
・ 職種・仕事の内容に関すること 841件(11%)
・ 雇用形態に関すること 729件( 9%)
・ 休日に関すること 642件( 8%)
・ 社会保険・労働保険に関すること 605件( 8%)
多くの人は何らかの求人情報を見てどの会社に就職しようか判断しますが、求人票に書いてある内容が虚偽であれば入社するまでどんな会社であるかを把握しようがありませんよね。長い就労の歴史の中、採用活動の際にはその人がどのような人材であるかを見極めなければならないため、雇用する側には「ブラック人材」を雇用しかねないリスクがありましたが、各企業がそうしたリスクを受け入れ採用活動を行い、就業後は就業契約や規則を通じて「ブラック人材」による危機の回避に努めてきました。しかし、働く側の「ブラック企業」に就職するかもしれないというリスクについてはどうするかについては話し合いがなされていません。
そんな「ブラック企業」を避けたくても避けれない現状がある中、先日「青少年雇用促進法」という新たな法律が国会に提出されました。名前の通り、青少年の雇用を促進するための法律ですが、本当に私たちが働きたくなるような法律になっているのでしょうか?
関連リンク: ブラックバイトユニオンblog|「しゃぶしゃぶ温野菜」の学生アルバイト労働問題の事実経過について
「青少年雇用促進法」の内容とは?
ポイントは以下のとおりです。
①ハローワークは、一定の労働関係法令違反(残業代不払い、セクハラ等)があった求人者について、新規学卒者の求人申込を受理しないことができる(公共職業安定所は、「求人の申込はすべて受理しなければならない」と規定している職業安定法第5条の5の特例)。
②新規学卒者の募集を行う企業は、青少年の募集・採用の状況、職業能力の開発・向上並びに職場への定着の促進に関する取組みの状況などを提供するよう努めるとともに、応募者から求められた場合は、これらの情報を提供しなければならない。
➂青少年に係る雇用管理の状況が優良な企業(規模300人以下)について、厚生労働大臣による新たな認定制度を創設する。引用元:青少年雇用促進法成立へ
まず①・②に関しては、「青少年雇用促進法」は新卒求人のみが対象となっており、中途採用に関しては対象外となっています。そもそも新卒の求職者はハローワークよりもリクナビやマイナビなどの就活サイトを活用して就活を行う場合が多いので、あまり効果があるとは思えません。
特に②については、提供する情報の内容があくまでも企業に委ねられているため、欲しい情報が必ず得られるという訳でもありません。③に関しては、国の認定の仕方次第で意味合いが大きく変わりますが、優良企業に対する助成金などが付けば少しは効果が見て取れるかもしれません。
ハローワークが新卒求人の受理を拒否しているという事実は企業にとってマイナスイメージとなりますので、一部企業にとっては大きな痛手となるかもしれませんが、それも企業側がハローワーク以外の職業紹介事業者を活用すれば済む話です。要するに、「青少年雇用促進法」はブラック企業そのものをどうこうするという法律ではなく、ハローワークの中のブラック企業求人を排除するための法律であるということです。しかも、新卒限定で。う~ん…なんとも微妙ですね。
結局のところ、求職者がブラック企業に気をつけることで対処するしかなさそうです。
「ブラック」への対処を
「ブラック企業」「ブラックバイト」は、いつどこで巻き込まれるかわかりません。これから働こうとする人はもちろん、今働いている人もその会社が傾いたらブラック化する恐れはあります。何らかの企業や組織で働く以上こうしたリスクは避けられませんが、対処方法があるということを知っておくだけでも被害や負担を軽減することができます。それに、誰かに相談するというのも大切なことです。一人で抱えて解決できないことは、誰かと一緒に解決すれば良いのですから。
悲しい話ですが「ブラック企業」「ブラックバイト」を始め、こうした「ブラック」で理不尽なことは社会の中に数多く存在しています。中には無知が原因で悪意なく行われている場合もあります。こうした理不尽や無知の全てを潰すことは困難ですが、一人ひとりが対処を持つことで苦しむ人は少なくなるはず。この社会が少しでも良くなるように、そして働きたいと思う人が働きやすい社会になるようにしていきたいものですね。
関連リンク: 無料冊子第5弾『ブラックバイトへの対処法』を公開しました! | ブラック企業対策プロジェクト
Ura記事はこちら→[働く側も雇う側も、無理を通そうとするのが、そもそも「ムリ」なのだ]
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