一人で食事をする高齢者は鬱になりやすい?ー笑いと健康の意外な関係(前編)ー

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「孤食」の高齢者は鬱になりやすい?

「ぼっち飯」なんて言葉が数年前から学生の間で流行ったりしていますが、実はこの「ぼっち飯」が高齢者の健康にリスクをもたらしていることが最近の研究で明らかになりました。

独りで食事をすることが多い「孤食」の高齢者は、一緒に食事をする人がいる高齢者に比べて鬱になりやすいとの研究結果を、東京大の谷友香子研究員(栄養疫学)らの研究チームが発表した。独り暮らしの場合、女性の孤食は鬱の可能性が1・4倍、男性は2・7倍にもなった。

「孤食」の高齢者 鬱リスク増 独居男性は2・7倍 東大研究チーム発表 /産経ニュース 

おおげさな話しに聞こえるかもしれませんが、これは3年間孤食の状態が続いた時のデータです。3年もの間食事を孤独に過ごすとなると、女性・男性ともに鬱になりやすくなるというのも頷けるのではないでしょうか。データによると、一人暮らしの女性の場合は全体の79%が、男性の場合は全体の85%が孤食状態にあるとのことなので、一人暮らしの高齢者の多くに鬱になるリスクが見受けられることになります。

高齢者の「孤食」と若い世代の「ぼっち飯」との違いは、高齢者は教育や就労といった半ば義務的なイベントが少ないため、環境の変化などによって脱出する機会がそもそも少ないということです(もちろん、若い世代にも同様の状況にある方はいます)。なので、「一人で食事を摂る→誰かと一緒に食事を摂るのがおっくうになる」といった「孤食」のスパイラルが起きやすいのが、この問題のポイントです。一人で食事をとっておけば、自分も他人もどちらも面倒がかからないため、一見すると最善の方法に見えてしまうというのも、この問題のネックかもしれません。

 

「笑い」と健康の関係性(高齢者の場合)

また一方で、普段からあまり笑わない高齢者の健康状態について、よく笑う高齢者との違いがあるということも最近の研究で明らかになってきています。

ふだんほとんど笑わない高齢者は、よく笑う高齢者と比べて、健康状態が悪いと感じる人が1.5倍以上に上ることが、千葉大学などの研究グループの調査で分かり、研究グループは「笑い」が健康に役立つ可能性を示すものだとしています。

ふだん笑わない高齢者ほど「健康状態悪い」/NHKニュース

笑いの頻度に応じて健康状態を分析すると、「ほとんど笑わない」人が「健康状態が悪い」と答えた割合は、「ほぼ毎日笑う」場合と比べ男性で1.54倍、女性で1.78倍になりました。

ふだん笑わない高齢者ほど「健康状態悪い」/NHKニュース

「病は気から」なんてことわざもありますが、普段からよく笑っている高齢者の方が「自分は健康である」と感じるのだから、笑うことの大切さが理解できますね。実はこの「健康状態が悪い」という自己認識を持っている人は、その後に寝たきりになる割合や早くに死亡する確率が高くなる、というのが研究結果として出ているそうです。もちろん本人のそもそもの健康状態が一番大事なのかもしれませんが、「自分は健康である」と考えることで健康リスクが低くなるのであれば、やってみて損はないかもしれませんね。

ただ、こういう話はわざわざ研究結果がなくても「たしかにそんな気がする」ということで、すでになんとなく理解している人が多そうなイメージがあるんですよね。高齢者の方なら尚更、長年の人生経験から「笑いは大切」なんてことはよくご存知のはずでしょう。しかし、事実として「孤食」の高齢者は多数存在し、あまり笑わない高齢者も多くを占めています。また、若い世代の中でも「ぼっち飯」という言葉が存在しています。こうした問題に対してポジティブな人はこういうでしょう。「一人で食事をするのが嫌ならば、誰かを誘えばいいじゃないか」と。そしてこう続けるでしょう「誰か誘うのが下手なら、上手く人を誘う方法を学べば良いじゃないか」。しかし、果たしてそれでこの問題が解決されるでしょうか?問題の本質はコミュニケーションスキルの有無なのでしょうか?

文章が長くなってきたので、これについては記事の中編で書いていこうと思います。

「孤食」と「ぼっち飯」の肯定的意図ー笑いと健康の意外な関係(中編)ー

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