自動運転車がもたらす破壊と創造(後編)【未来の「はたらく」を考えよう 】

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車のキーと手

【前編はこちら】

2.自動運転車が破壊する”今の仕事”もある

電気自動車

自動運転車への移行の影響は流動的になると予想されています。コンサル最大手のプライスウォーターハウスクーパースは、道路上の車の数は99%減ると予測しており、2億4500万台の車が240万台まで減ると見積もっています。車の所有のカタチが変化するということは前編でも触れましたが、公共輸送機関からも同様に多くの利用者を奪うということが予想されています。理由はUberの410億ドルの資産価値があれば、アメリカの171000台のタクシーに取って代わることは充分実現可能な範囲内であるからだとのこと。1台につき25000ドルの費用で、運用には43億ドルのコストで済むそうです。

こうした破壊的な革新は保守的な競争相手には厳しいものとなります。ポラロイド社がデジタルカメラにシェアを奪われたように、ゼネラルモーターズやトヨタなどの大手自動車メーカーがこの変化の波を生き残ること非常に困難であるといえます。なぜなら大手自動車メーカーは個人の好みに合わせるためにバリエーションを豊富にし、異なるタイプの車を製造しているため、経費が掛かりすぎて売り上げの急激な減少には耐えられないからです。

また、製造分野だけではなくタクシーやバスの運転業にも変化の波はやってきます。

このサービス(Uber)にレッドカードを突きつけたのは、既存のタクシー業界だ。業界が反発するのは、Uberが事実上タクシー事業を展開しながら、タクシーの営業許可を取っていないこと。規制が厳しく、新規参入に高いハードルがあるタクシー業界は、異色の新参者に市場を荒らされることにとりわけ神経を尖らす。

だが逆風も何のその、Uberはヨーロッパ市場席巻をめざし、野心的な進撃を続けている。ヨーロッパ各地のタクシー運転手はこれに危機感を募らせ、今年6月にはロンドン、パリ、ベルリンなど主要都市で抗議のタクシーが路上に集合、交通をストップさせる事態になった。

ソース:「タクシー業界の敵」で「破壊的」なUberとは

技術革新には既得権益との戦いですね。技術によって人々の生活が便利になる一方で仕事を失う人もいます。例えば自動車保険市場。アメリカでは1980億ドルの市場規模を誇りますが、自動車事故が無くなった場合にはどのようにサービスを継続すればいいのでしょう。自動車ローン市場は980億ドル、パーキング産業は1000億ドル、このような補助産業は私有自動車の需要が消滅する事でニッチ化するでしょう。

アメリカ合衆国の労働統計局のリストでは88万4000人が自動車と部品製造に従事しており、さらに302万人がディーラーやメンテナンス関連で働いているそうです。また、トラックやバス、配達、タクシーの運転手などの専門的な運転業者は600万人にも登ります。もし自動運転のトレーラーやバス、ブルドーザー、トラックが誕生した日には、プロの運転手と彼らを取り巻くサポート産業の必要性を取り除いてしまいます。実質的にこれらの仕事は自動運転者の普及とともに消滅する運命にあるといえます。

しかし、失業と大規模な産業破壊にもかかわらず、自動車所有の必要が無くなるということや真の流通革命を前にすると、更に便利な世の中がやってくることを期待せずにはおれません。輸送コストや移動コストの劇的な削減によって生まれる新たなサービスや文化がきっと出てくるはずです。

 

3.変化せざるを得ない社会を、楽しく生きるには?

歩く

これまでにも多くの技術革新によって多くの職が無くなり、新たな文化が生まれてきました。過去の生産のオートメーション化は多くの職人の仕事を奪い、ここ約10年間の間でもITによって消滅した職業や縮小したマーケットも少なくありません。便利な社会は既得権益を破壊します。電子メールは年賀ハガキのマーケットを破壊しました。たとえどれほど意義のある仕事や文化であったとしても、より便利な社会を前にして尚変わらずにメインストリームとして存在し続けるのは困難です。全てがただの手段になるだけです。

自動運転車のみならず、これから他分野でも多くの技術革新が起こるでしょう。そしてこうした革新はコストを縮小し成長を加速させます。懐古主義は手間もお金もかかりますが、革新の波に乗るということはお得で楽しいのです。障がいをサポートする技術のような素晴らしいものもあれば、どうでもいい手間やコストが減ることで可処分時間を増やすものもたくさん出てくるでしょう。そうして一人ひとりの人生を追求する時間が増えていきます。それぞれの人生を追求するための手段が増えていくのです。

技術革新は我々に主体的な変化を求めてきます。それは、私たちの「人格・性格の変化」ではなく「手段の変化」です。結局のところ人生の目的とは、人間にしかできないことを追求すること。自動運転も人生を楽しむための一つの手段です。そして大きな流れでもあります。たとえヒトの役割が少なくなったとしても、自分の人生に対して主体的になれるか?自動運転車からの問いにあなたならどう答えますか?

 

ソース:How Uber’s Autonomous Cars Will Destroy 10 Million Jobs and Reshape the Economy by 2025

文責:takenako

翻訳:N.Y

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